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INTRODUCTION

“サニー”……それは「犯罪史上、もっとも可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の女の子

来春、人気アイドルグループ「NGT48」から卒業することを発表、主演を務めた“きたりえ”こと北原里英は自らのtwitterにこう書き込んだ。「これはわたしの人生で事件です」と。そう、事件の映画であり、映画の事件! その名は『サニー/32』。先読み不可能、サスペンスフルな感情のジェットコースタームービーとして姿を現した本作は、現在の日本映画界をリードする監督・白石和彌と脚本・髙橋泉の『凶悪』タッグによる完全オリジナル作品だ。

映画は開幕早々、北原演じる中学校教師・藤井赤理が24歳の誕生日に拉致監禁されてしまうという、衝撃的な展開を用意する。犯人は二人組で、彼らは赤理のことを“サニー”と呼んだ。“サニー”とは何か? ’03年に日本中を騒然とさせた事件の加害者で、しかも「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とネット上で神格化されてしまった当時11歳の少女の通り名であった。あれから14年目に動き出した、“サニー”をめぐる新たなる事件の結末とは一体―。

『凶悪』の監督、スタッフ、キャストが結集した「2018年もっともヤバい映画」

’13年に公開されるやその年の国内映画賞を席巻した『凶悪』でブレイクし、北海道警察の不祥事を題材にした『日本で一番悪い奴ら』(16)、さらには『牝猫たち』(17)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、そして本作を挟んで『孤狼の血』(18年5月12日公開)と快進撃を続ける白石和彌監督。「北原里英の秘めた破壊力がこの作品で解き放たれます」と、これまで「AKB48」「SKE48」「NGT48」を歴任してきた国民的アイドルを極限まで追い込み、見事“女優”として覚醒させた。

卒業を発表して以降、初の主演映画となった北原は、白石監督の『凶悪』がそもそも大好きで、現場に臨む覚悟が違った。全編にわたって過酷なシチュエーションを受け止め、カラダを張って生きてみせ、ヒロインとして観る者の心を強く、深く、揺さぶる。拉致監禁の実行犯、“サニー”の狂信的信者には『凶悪』の名コンビ、ピエール瀧&リリー・フランキーが! 他にも強烈なキャラクターに同化した「混ぜたら危険」なアクターたちが揃えられており、とりわけ「火花」(16)で白石組経験済みの門脇麦が圧巻!! 監督曰く、「瀧さんとリリーさんのプロレス的タッグマッチに、セメントを仕掛ける北原里英と門脇麦という構図」の、ヤバい群像劇に仕上がっている。

リアルに現代の空気感を取り入れ、センセーショナルにして人間の本性を探っていくスタイル。合わせて“アイドル映画”であり“冒険映画”でもある『サニー/32』は、白石和彌史上、最もレンジが広いエンタメ作品といえよう。

STORY

の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁!小田は嬉々としてビデオカメラを回し、柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。

“サニー”とは―世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称だった。事件のあらましは、当時11歳だった小学生女児が同級生を、殺害したというもの。突然、工作用のカッターナイフで首を切りつけたのだ。

件発覚後、マスコミが使用した被害者のクラス写真から、加害者の女児の顔も割りだされ、いたいけで目を引くルックスゆえに「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とたちまちネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。出回った写真では、独特の決めポーズ(右手が3本指、左手は2本指でピースサインをつくる)も話題を集め、それは信者たちの間で「32(サニー)ポーズ」と名付けられ、加害女児自体も“サニー”と呼ばれるようになった。
奇しくも、この“サニー”の起こした事件から14年目の夜に二人の男によって拉致監禁された赤理。

原も小田もカルトな信者で、二人は好みのドレスに着替えさせ、赤理の写真や動画をネット上の「サニーたんを愛する専門板www」にアップ。赤理は正気を失っていきながらも、必死に陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みる。が!それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった―。

CAST & COMMENT

  • 藤井赤理

    北原里英

    1991年6月24日生まれ。愛知県出身。
    秋元康プロデュースによるアイドルプロジェクト「AKB48」のメンバーとしてデビュー。同グループでの約7年の活動を経て、’16年より、新潟を活動の拠点とする「NGT48」チームNⅢのキャプテンを務める。女優としても多くの作品に出演しており、主な映画出演作品としては、『グラッフリーター刀牙』(12)、『ジョーカーゲーム』(12)、『任侠野郎』(16)などがある。

    COMMENT

    グループからの来春卒業発表&女優としての活躍を誓ってから、主演映画の本作公開が世に発表される今の心境

    ようやく情報解禁がきた…!
    待ちに待った瞬間を迎えて、震えるほど嬉しい気持ちです。この映画が決まったとき、そして撮影しているとき、ずっと早く言いたくてウズウズしていました。だけどどこかで、自分だけのものにしておきたいくらい大事な宝物のような気持ちもあり、不思議な感覚です。
    先日、グループから来春卒業することを発表させて頂きましたが、この映画をもって、新たな人生を歩み始められることをとても幸せに思います。

    脚本を読んだ印象

    最初から引き込まれました。本を読むだけでこれはとんでもないものになりそう…という予感と、自分にこれができるのだろうか?という心配とで、ワクワクドキドキしました。

    白石組の印象、また演じるにあたって白石監督とどのように役をつくっていったか

    白石監督の作品はどれも、心にトラウマが残るシーンがあるので、どれだけ残虐な人間がどんな心境で撮影してるんだろう…と思っていたのですが(笑)、実際の白石監督はいつだって演者のことを考えてくださり、現場のことを思ってくださり、自分が1番に動いてくださる凄く信頼できる方でした。
    演じるにあたって自分にできるのか不安ばかりだったのですが、白石監督がいつも安心させてくれました。

    共演者とのエピソード

    瀧さんとリリーさんはわたしの大好きな『凶悪』コンビだったので、初めてお二人の2ショットを見たときは、こっそりテンションが上がりました!
    映画などでは怖い印象の強いお二人ですが、実際はとても面白くてお茶目で可愛くて、瀧さんは少年のようで、リリーさんは包容力溢れる大人で、タイプの違うお二人なのですが2人がとても仲良しで癒されました。辛い撮影期間でしたがお二人といると甘えることができて、たくさん助けてもらいました。
    門脇麦さんも、ずっと一方的に画面を通して観ていた方だし、とても尊敬している方だったので、お会いするまで緊張していたのですが、空き時間には現場のブームだったしりとりを一緒にしてくれて、ほっこりした時間を過ごせました!
    共演者みんな仲が良くて、現場は過酷ながらとても楽しかったです。

    観客となる皆さまへのメッセージ

    すごい作品に参加させていただきました。わたし自身が1番楽しみにしているといっても過言ではありません。アイドルであるわたしが主演なので、それだけで避けてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、この映画の撮影は、そのことを忘れるほど集中して臨めました。この作品で新しい一歩を踏み出します!本当にたくさんの方に観て欲しいです。ぜひ白石監督の世界を楽しんでください!

  • 柏原 勲

    ピエール瀧

    1967年4月8日生まれ。静岡県出身。
    1989年石野卓球らと“電気グルーヴ”を結成。ミュージシャンとして活躍する一方、俳優としても唯一無二の存在感で幅広い役柄を演じ、数々の作品に出演している。2013年公開の映画『凶悪』では第37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞をはじめ数々の映画賞を受賞した。近年の主な出演作品に『アナと雪の女王』(14/日本吹き替え版の声の出演)、『寄生獣 前編・完結編』(14・15)、『日本で一番悪い奴ら』(16)、『シン・ゴジラ』(16)、『怒り』(16)、『海賊と呼ばれた男』(16)、『アウトレイジ 最終章』(17)などがある。また公開待機作として『孤狼の血』(18年5月12日公開)がある。

    COMMENT

    脚本を読んだ印象

    相変わらずの白石組特有のぶっ飛んだ脚本なのですが、今回の悪事は鬼畜ぶりがこれまでとは異質というか特異というか…。脚本を読んだ段階では仕上がりが想像できない不思議な話でした。様々な社会現象がちりばめられた本作をネタ探しで楽しむのも良いかと思います。

    『凶悪』以来のリリー・フランキーさん&白石監督との現場について

    リリーさんと組むと、現場ではついつい遊びの話になってしまうのが通常パターンです。
    今回も撮影の合間に三条市にキッチン用品を大量に買い込みに出かけたりして楽しかったです。『凶悪』と比べられてしまうのは仕方ないとは思いますが、『凶悪』とはまた違った形のコンビ感なので、その違いも楽しんでもらえたらと思います。
    白石さんはもう無理難題を吹っかけてくることが通常営業なので、そのハードさを楽しめるようになってきました。極寒且つ横殴りで吹き付ける霙の中で、水に入る撮影を強行していた際は映画の鬼と化していました。僕は内心「白石め!誰かにこっぴどく怒られろ!」と思っていましたが。

    北原里英さんとの共演について

    全般的にハードな撮影スケジュールの本作でしたが、その中でも北原さんが一番大変だったのではないでしょうか。大のおっさん(自分とかリリーさん)がブーブー言いながら渋々撮影してる中、文句ひとつ言わずに雪の中に立ち続ける姿は立派でしたし、完璧な主演女優でした。本当によくがんばったと思います。

  • ネット上に現れた二人目のサニー

    門脇 麦

    1992年8月10日生まれ。東京都出身。
    2011年にデビュー後、クラシックバレエを披露した東京ガスのCM「ガラスの仮面 MASK OF GAS」で注目を集める。ヒロインに抜擢された『愛の渦』(14)での演技が高く評価され、第6回TAMA映画祭最優秀新進女優賞、第36回ヨコハマ映画祭日本映画個人賞最優秀新人賞、第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞などを受賞。その後も演技力の高さから数々の作品に出演。近年の主な出演作に、連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、『太陽』(16)、第14回ウラジオストク国際映画祭最優秀女優賞を受賞した『二重生活』(16)、『こどもつかい』(17)、『世界は今日から君のもの』(17)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『KOKORO』(17)などがある。公開待機作として、『花筐/HANAGATAMI』(17年12月16日公開)がある。

    COMMENT

    脚本を読んだ印象

    この脚本を面白い面白くないといった言葉でくくるのはナンセンスだと読み始め早々に感じました。作品全体像が全く見えず演じる側としては不安も感じましたが、どんなジャンルにも縛られず色んなものを突き破っていく作品になる予感がして胸が高鳴りました。

    本作での白石組の印象

    白石監督は、底知れぬバイタリティと精神力を持ってる方。なのに、穏やかで優しくて。
    ギリギリな精神状態になってしまいそうなあの現場で、監督の笑顔はみなさんのパワーの源だったのではないかなと思います。

  • 小田 武

    リリー・フランキー

    1963年11月4日生まれ。福岡県出身。
    武蔵野美術大学卒業後、イラスト、文筆、俳優など幅広く活動。『ぐるりのこと。』(08)で、第51回ブルーリボン賞新人賞を受賞。また『凶悪』(13)で第37回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞、『そして父になる』(13)で最優秀助演男優賞を受賞。その他第87回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞、第26回日刊スポーツ映画大賞など多数の映画賞を受賞。近年の主な出演作として『海街diary』(15)、『バクマン。』(15)、『恋人たち』(15)、『SCOOP!』(16)、『聖の青春』(16)、『美しい星』(17)、『奥田民夫になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(17)、『パーフェクト・レボリューション』(17)などがある。公開待機作として『探偵はBARにいる3』(17年12月1日公開)、『巫女っちゃけん。』(18年2月3日公開)、『blank13』(18年2月3日公開)がある。

    COMMENT

    脚本を読んだ印象

    もう、本当に、この人たちは・・・。とあきれるくらい白石節、髙橋節でした。

    『凶悪』以来のピエール瀧さん&白石監督との現場について

    瀧は相変わらずギザかわいくて、白石さんは相変わらず憎たらしかったです。

    北原里英さんとの共演について

    素晴らしい女優さんです。この役を演じる「覚悟」というものを感じ、引っ張られました。

  • 田辺康博

    駿河太郎

    1978年6月5日生まれ。兵庫県出身。
    音楽活動を経て2008年に俳優として活動し始める。2011年連続テレビ小説『カーネーション』(NHK)でヒロインの夫役に抜擢され注目を集め、以降多数の作品に出演。初主演を務めた『夢二~愛のとばしり』(16)がロサンゼルスで開催された、Japan Film Festival Los Angeles 2015 にて最優秀作品賞グランプリを獲得し、最優秀主演男優賞を受賞した。近年の主な出演作として『真田十勇士』(16)、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)、『いつまた、君と~何日君再来~』(17)、『イイネ!イイネ!イイネ!』(17)などがある。公開待機作として『孤狼の血』(18年5月12日公開)、『散り椿』(18年公開予定)がある。

  • 春樹先輩

    音尾琢真

    1976年3月21日生まれ。北海道出身。
    演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。2004年より活躍の場を北海道から全国へ広げ、数々の作品に出演。近年の主な出演作品に『藁の楯 わらのたて』(13)、『駆込み女と駆出し男』(15)、『起終点駅 ターミナル』(15)、『日本で一番悪い奴ら』(16)、『森山中教習所』(16)、『金メダル男』(16)、『牝猫たち』(17)、『無限の住人』(17)、『たたら侍』(17)、『関ヶ原』(17)などがある。公開待機作として『祈りの幕が下りる時』(18年1月27日公開)、『孤狼の血』(18年5月12日公開)、『検察側の罪人』(18年公開予定)がある。

STAFF

スーパーバイザー 秋元康

高校時代から放送作家として頭角を現し、数々の番組構成を手掛ける。83年以降、作詞家として、美空ひばり『川の流れのように』をはじめ、数多くのヒット曲を生む。91年『グッバイ・ママ』で映画監督デビュー。企画・原作の映画に『着信アリ』シリーズなどがあり、『着信アリ』はハリウッドリメイクされている。AKB48グループ、乃木坂46、欅坂46の総合プロデューサーを務め、最近では、テレビ朝日『ラストアイドル』企画・原案、劇団『4ドル50セント』トータルプロデューサーも担当するなど、多岐にわたり活躍中。

COMMENT

ラジオ番組『オールナイトニッポン』での会話がきっかけだった。
北原里英が『映画に出たい』と言うので、翌日、僕は『八日目の蟬』のプロデューサー石田雄治に電話をして、何か企画をして欲しいとお願いした。
それから、すぐに、白石和彌監督がメガホンを取ってくれることになったのだが、スケジュールの都合で2年の月日が流れてしまった。
にしても、である。
白石和彌監督に主演映画を撮ってもらえるなんて、なんて運がいいのだろう。
2018年の春にNGT48を卒業する彼女にとって、この映画『サニー/32』は、女優としての真価が問われる大切な作品である。卒業後の一歩にふさわしい体当たりの演技が見ものだ。

脚本 髙橋泉

1973年生まれ。埼玉県出身。
2001年、俳優・監督である廣末哲万と共に映像ユニット「群青いろ」を結成し、デビュー作『ある朝スウプは』(03)は国内外で高く評価される。主な脚本作品は『ソラニン』(10/三木孝浩監督)、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10/白石和彌監督と共同脚本)、『LOVE まさお君が行く!』(12/大谷健太郎監督)、『100回泣くこと』(13/廣木隆一監督)、『凶悪』(13/白石和彌監督と共同脚本)、『秘密 THE TOP SECRET』(16/大友啓史監督と共同脚本)、『ミュージアム』(16/藤井清美、大友啓史監督と共同脚本)、『トリガール!』(17/英勉監督)、『坂道のアポロン』(18年3月10日公開/三木孝浩監督)など。

監督 白石和彌

1974年生まれ。北海道出身。
1995年、中村幻児監督主催の映像塾に参加。以降、若松孝二監督に師事し、フリーの演出部として活動。若松孝二監督『明日なき街角』(97)、『完全なる飼育 赤い殺意』(04)、『17歳の風景 少年は何を見たのか』(05)などの作品へ助監督として参加する一方、行定勲監督、犬童一心監督などの作品にも参加。2010年、初の長編映画監督作品『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で注目を集める。ノンフィクションベストセラーを原作とした『凶悪』(13)は、2013年度新藤兼人賞金賞をはじめ、第37回日本アカデミー賞優秀作品賞・脚本賞ほか各映画賞を総嘗めし、一躍脚光を浴びる。その他、日本警察史上最大の不祥事と呼ばれた事件をモチーフに描いた『日本で一番悪い奴ら』(16)、『牝猫たち』(17)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)などがある。公開待機作として、『孤狼の血』(18年5月12日公開)がある。

COMMENT

北原里英の秘めた破壊力がこの作品で解き放たれます。この作品は脚本の高橋泉氏と、いずれは取り掛からなければならない物語だと酒を飲む度に話し合ってきた念願の企画です。瀧さんとリリーさんのプロレス的タッグマッチにセメントをしかける北原里英と門脇麦という構図です。みんな狂っていて、悲しく恐ろしい。
閉鎖的な社会に生きる少年少女たちの行き場のない魂の慟哭。北原里英、飛べ! 飛んで救いに行け! この作品は純然たるアイドル映画です。そう簡単に卒業させません。

THEME SONG

「pray」
牛尾憲輔+田渕ひさ子

牛尾憲輔

テクニカルエンジニア、プロダクションアシスタントとして電気グルーヴ、石野卓球をはじめ、様々なアーティストの制作、ライブをサポート。ソロユニット"agraph"としても、これまでに3枚のアルバムを発表。2011年にはagraphと並行して、ナカコー(iLL/ex.supercar)、フルカワミキ(ex.supercar)、 田渕ひさ子(bloodthirsty butchers/toddle)とのバンド、LAMAを結成。2014年にTVアニメ「ピンポン」、2016年に『映画 聲の形』でそれぞれ音楽を担当。その他、REMIX、プロデュースワークをはじめ、アニメ作品の音楽やCM音楽も多数手掛けるなど多岐にわたる活動を行っている。

COMMENT

監督から主題歌を頼まれ、歌って頂く方を考えました。
作中での赤理の向井に向けた母性的な眼差しや、監督から頂いた“祈り”というキーワードの純粋さを表せる歌声を、と思い田渕さんにお願いしました。

田渕ひさ子

13才でギターを始めて以来、途切れることなくギャルバンでギターを弾き続ける。19才でNUMBER GIRLに加入。紅一点のギタリストとして注目される。その強烈なインパクトのあるギターは、ギター・マガジン誌が主催する“史上最も偉大なギタリスト100人”に数少ない女性ギタリストとして選出されるなど、今や日本のロック・シーンを代表する女性ギタリストの一人といえる。
02年NUMBER GIRL解散後は、自身がリーダーであるtoddleを始める。
bloodthirsty butchers、LAMAなどのバンド以外にも、磯部正文バンド、SPANK PAGE、黒木渚、大森靖子、Bass Ball Bearなどの多くのアーティストのギターを弾いたり、他にも楽曲提供や弾き語りなど活動の幅を拡げている。

PRODUCTION NOTES

本作の出発点、それはちょっとしたサプライズであった。「AKB48」グループの総合プロデューサー、かの秋元康氏から「白石和彌監督に北原里英主演で映画を撮ってほしい」とのオファーが日活へと届いたのである。これだけでもインパクト大のトピックだが、決定的だったのは、北原里英のフェイバリットムービーの1本に白石監督の『凶悪』があり、彼女自身も「ぜひ『凶悪』のような作品に出たい!」と言っている、と―。

そこからこの企画は動き出し、さっそく秋元氏と白石監督、それから『ロストパラダイス・イン・トーキョー』『凶悪』とタッグを組んできた脚本の髙橋泉を交えての会合が開かれた。秋元氏から様々なアイディアを提示され、しかし最終的には、白石&髙橋コンビが今やりたいことを軸にして方向性を固め、「アイドルの枠を超え、女優としての彼女の器量を試してほしい。」とのオーダーに応えるべく、完全オリジナル脚本で挑む運びとなった(秋元氏はスーパーバイザーとしてクレジット)。

1年以上の脚本づくりを経て、いよいよ撮影へ。一部の合成カットは東京で撮ったものの、基本はほぼ新潟県内でロケが行われた。2017年2月2日にクランクイン、19日まで怒涛の日々が続いたわけだが、主演の北原里英は全身全霊でこの映画に取り組んだ。横殴りで吹き付ける雪に風に霙。劇中衣装の薄着のドレスを身に纏い、裸足同然で極寒のロケ地に立ったのだ!

まず、序盤の舞台となった廃屋から逃亡するシーンでは、(本編に使用されたのはほんの一部であったが)普段人が入っていない雪山に体を半分埋めながら長時間必死に歩き、がむしゃらに頑張った。中盤からのステージとなる海の家も寒さがキツく、共演者のピエール瀧が低血糖に陥り、「ブドウ糖を溶かしたお湯を用意してほしい」と要望が出たほど。そんな中で北原里英は物語の展開、シチュエーションに応じて幾つもの顔を見せ、とりわけ、次第に凶暴化しつつも母性が入り混じっていく鬼気迫る演技は凄まじく、観る者を圧倒する。

ちなみに、新潟の雪山の廃屋ならびに海の家という設定は、脚本段階から明確に白石監督の脳内にイメージがあった。師匠の若松孝二監督が新潟でよくロケをしており、助監督時代その記憶があったのだ。北原里英が所属する「NGT48」は偶然にも、新潟をベースに活動をしているが、白石監督との出会いは半ば“必然”であったのである。

“サニー”の狂信的信者にして拉致事件の実行犯役はこの二人、『凶悪』のピエール瀧とリリー・フランキー。白石監督は「『凶悪』と同じ関係性でやってもらってもつまらないので、立場を逆転させてみた」と、新たなコンビ感の創出を狙い、それに堂々応えた二人は、弱音ひとつ吐かずに献身的に難役を全うした北原里英に多大なる刺激を受けたという。

もちろん、白石組経験者である、門脇麦に与えられた“ミッション”の重要性は言うまでもない。さらに常連の音尾琢真らも加わって、「一線を超えてしまった人間たち」の生態をスクリーンに刻みつけている。

「NEVADA事件」にドローン少年、ネット上でのSHOWROOM的なコミュニケーション……など、さまざまな現代的なトピックス、社会現象がちりばめられているこの『サニー/32』。映画のオープニングを「専門スレッド」の画面に模して始めたことからも、白石監督の遊び心と“戦略”が見えてくるだろう。ここで注目したいのは“1分でわかる「サニー事件」”の背後から聴こえてくるサニーを賛美するラップ。歌っているのは何と(『火花』を共作した)沖田修一監督で、バックコーラスは白石監督自身! スクロールされていく画面に「サニたんに萌える会 会長と副会長」の写真が一瞬、顔をぼかして映るが、正体はサニーポーズを決めた両監督である。

できる限り順撮りに近い形で撮影を進めてきた本作の最終シーンは夜間、まさに北原里英が海の家の屋根へと上がるクライマックスの場面だった。撮影の灰原隆裕は『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。前後編』(15)以降、『牝猫たち』『彼女がその名を知らない鳥たち』と続いて、最新作の『孤狼の血』(18)も任されている白石組の主軸。他のスタッフも盤石の布陣だ。が、北原は翌日、別の仕事があり、早朝には新幹線に乗らねばならない状況で、刻々と日が明けていく。白石監督は絵コンテを描くタイプではないのだが、難しい撮影を効率よく行うために必要なカットをコンテにおこしてスタッフと意思共有して臨むことに。雪が降って、積もって、強風で雪がなくなってと目まぐるしく変わる撮影環境の中、果たして撮影は無事終了、疲労困憊の中、監督は主演女優に花束を渡してハグすると、すぐに彼女を送り出した。

戦場のような現場から生み出された映画『サニー/32』―今後、女優として闘っていく北原里英にふさわしい作品になるに違いない。