INTRODUCTION

“サニー”……それは「犯罪史上、もっとも可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の女の子

来春、人気アイドルグループ「NGT48」から卒業することを発表、主演を務めた“きたりえ”こと北原里英は自らのtwitterにこう書き込んだ。「これはわたしの人生で事件です」と。そう、事件の映画であり、映画の事件! その名は『サニー/32』。先読み不可能、サスペンスフルな感情のジェットコースタームービーとして姿を現した本作は、現在の日本映画界をリードする監督・白石和彌と脚本・髙橋泉の『凶悪』タッグによる完全オリジナル作品だ。

映画は開幕早々、北原演じる中学校教師・藤井赤理が24歳の誕生日に拉致監禁されてしまうという、衝撃的な展開を用意する。犯人は二人組で、彼らは赤理のことを“サニー”と呼んだ。“サニー”とは何か? ’03年に日本中を騒然とさせた事件の加害者で、しかも「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とネット上で神格化されてしまった当時11歳の少女の通り名であった。あれから14年目に動き出した、“サニー”をめぐる新たなる事件の結末とは一体―。

『凶悪』の監督、スタッフ、キャストが結集した「2018年もっともヤバい映画」

’13年に公開されるやその年の国内映画賞を席巻した『凶悪』でブレイクし、北海道警察の不祥事を題材にした『日本で一番悪い奴ら』(16)、さらには『牝猫たち』(17)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、そして本作を挟んで『孤狼の血』(18年5月12日公開)と快進撃を続ける白石和彌監督。「北原里英の秘めた破壊力がこの作品で解き放たれます」と、これまで「AKB48」「SKE48」「NGT48」を歴任してきた国民的アイドルを極限まで追い込み、見事“女優”として覚醒させた。

卒業を発表して以降、初の主演映画となった北原は、白石監督の『凶悪』がそもそも大好きで、現場に臨む覚悟が違った。全編にわたって過酷なシチュエーションを受け止め、カラダを張って生きてみせ、ヒロインとして観る者の心を強く、深く、揺さぶる。拉致監禁の実行犯、“サニー”の狂信的信者には『凶悪』の名コンビ、ピエール瀧&リリー・フランキーが! 他にも強烈なキャラクターに同化した「混ぜたら危険」なアクターたちが揃えられており、とりわけ「火花」(16)で白石組経験済みの門脇麦が圧巻!! 監督曰く、「瀧さんとリリーさんのプロレス的タッグマッチに、セメントを仕掛ける北原里英と門脇麦という構図」の、ヤバい群像劇に仕上がっている。

リアルに現代の空気感を取り入れ、センセーショナルにして人間の本性を探っていくスタイル。合わせて“アイドル映画”であり“冒険映画”でもある『サニー/32』は、白石和彌史上、最もレンジが広いエンタメ作品といえよう。

 

STORY

冬の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁!小田は嬉々としてビデオカメラを回し、柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。

“サニー”とは―世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称だった。事件のあらましは、当時11歳だった小学生女児が同級生を、殺害したというもの。突然、工作用のカッターナイフで首を切りつけたのだ。

事件発覚後、マスコミが使用した被害者のクラス写真から、加害者の女児の顔も割りだされ、いたいけで目を引くルックスゆえに「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とたちまちネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。出回った写真では、独特の決めポーズ(右手が3本指、左手は2本指でピースサインをつくる)も話題を集め、それは信者たちの間で「32(サニー)ポーズ」と名付けられ、加害女児自体も“サニー”と呼ばれるようになった。
奇しくも、この“サニー”の起こした事件から14年目の夜に二人の男によって拉致監禁された赤理。

柏原も小田もカルトな信者で、二人は好みのドレスに着替えさせ、赤理の写真や動画をネット上の「サニーたんを愛する専門板www」にアップ。赤理は正気を失っていきながらも、必死に陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みる。が!それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった―。